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FortiGateのHAが同期されない場合の対処法について

FortiGateのHA(High Availability)構成は、ネットワークの冗長性と可用性を高める重要な仕組みです。

しかし、HAの同期が失敗すると、冗長構成の意味が失われるだけでなく、サービス停止リスクや障害復旧の遅延にも直結します。

この記事では、HAの同期がされない/不安定になる場合の主な原因とその具体的な対処法を、実務視点で徹底的に解説します。

よくある症状一覧

症状 想定される原因
セカンダリユニットがクラスタに参加しない ファームウェア不一致、物理リンク異常、設定差異
HAが「out of sync」状態になる インターフェース設定差異、証明書未同期、ログ差異
一時的に同期されるがすぐ切れる heartbeat通信障害、MTU不整合
セカンダリが誤ってマスターになる priority未設定、override無効

物理接続・HAインターフェースの確認

チェックポイント

  • HAインターフェースに専用ポートを割り当てているか?
  • 同一セグメントでL2通信が可能か?
  • スイッチ側でVLANトランキングやSTPなどによりパケットが制限されていないか?

対処法

  • ケーブルの差し間違い、リンクダウンの有無を確認
  • L2スイッチ上でHA用ポートがブロックされていないか確認(ポートセキュリティ、BPDUガードなど)
  • get system interface physical でリンク状態を確認

ファームウェアのバージョンを統一

HA構成には完全一致したファームウェアバージョンとビルド番号が必要です。

チェックコマンド

get system status

対処法

  • セカンダリが古い/異なるバージョンの場合は、マスターと同じファームウェアに手動でアップグレード
  • アップグレード後、電源再投入も忘れずに実施

優先度とマスター選出の制御

HAクラスタでは、デフォルトでシリアル番号が小さい方がマスターに選ばれます

対処法

意図的にマスターを固定するには、以下の設定を適用。

config system ha
    set group-name "HA-GRP"
    set mode a-p
    set priority 200
    set override enable
    set hbdev "ha1" 100
end

override が無効の場合、シリアル番号でマスターが決まるため注意。

同期されない設定項目への対応

FortiGate HAでは、以下の設定項目は自動で同期されません

同期されない項目 対処方法
管理者パスワード 手動で設定
ローカル証明書 GUIまたはCLIで個別にインポート
FortiCloudログ、ログディスク設定 同一構成に手動変更
管理インターフェースIP(通常は各ユニットで別IP) 明示的に設定

セカンダリを初期化せずに手動設定をしていた場合、差異が原因で「out of sync」になることも。

heartbeat通信の確認(MTU含む)

HAは内部的にheartbeat(心拍)パケットを使って同期と生存確認を行っています。

対処法

  • diagnose sys ha status でheartbeat状態を確認
  • config system ha にて hbdev に複数ポートを割り当て、冗長化
  • jumbo frameなどのMTU差異が原因でheartbeatが破棄されることがあるため、MTU設定を確認

同期エラーのログ確認(hatalkログ)

GUIで「HA out-of-sync」と表示された場合、ログで原因を突き止めることが重要です。

調査用コマンド

diagnose debug enable
diagnose debug application hatalk -1

このログから、

  • 設定の差異
  • 証明書の不一致
  • heartbeatの異常
    などを確認可能です。

セカンダリユニットのファイル破損/初期化

ごく稀に、セカンダリユニットのファイルシステムが破損しており、何をしても同期できない/不安定になることがあります。

対処法

  1. セカンダリユニットを一時的にHAクラスタから外す
  2. 初期化(※すべての設定が消えるので要注意): execute factoryreset
  3. マスターに再接続し、自動同期を確認

FortiCloud / FortiGuard ライセンスの影響

HA構成そのものにはライセンスの一致は必須ではありませんが、ライセンス差異があると以下のような影響が出る可能性があります。

項目 影響
FortiGuard WebFilter 機能に差異が出る
FortiCloudログ保存 セカンダリがログを送信できない場合あり
自動バックアップ FortiCare未登録機では不可

対処法

  • 両機とも FortiCare に登録されているか確認
  • FortiManagerやFortiAnalyzer使用時は、登録状態と同期設定も確認

トラブルシュートフロー(まとめ)

  1. get system ha status で同期ステータスを確認
  2. diagnose sys ha status でheartbeat状態をチェック
  3. diagnose debug application hatalk -1 で同期エラーを特定
  4. インターフェース構成・ファームウェア・設定差異を比較
  5. 必要に応じてセカンダリの初期化と再参加を実施

FortiGate HA構成のベストプラクティス

項目 推奨設定
HAインターフェース 専用物理ポートを使用(共有しない)
heartbeatポート 2系統以上を設定し冗長化
優先度設定 set priority + set override enable を使用
同期トリガー セカンダリは初期状態でHAクラスタに参加させる
ログ監視 hatalkログを定期的に確認
ファイル同期 ローカル証明書などは手動で反映すること

結論

FortiGate HAが同期されない場合、その原因は物理接続から設定の細部、ログ確認まで多岐にわたります

トラブルが発生した際は、以下の3つを意識して対処しましょう。

  1. 段階的に原因を切り分ける(構造的アプローチ)
  2. CLIを用いた正確なステータス確認とログ解析
  3. 再構築を視野に入れた判断力

HA構成は冗長化の要であり、障害対応力がネットワークの信頼性を左右します。

本記事を参考に、堅牢なHA環境を維持・復旧できる体制を整えてください。

以上、FortiGateのHAが同期されない場合の対処法についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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