Fortinetが提供する次世代ファイアウォール「FortiGate」は、基本的なファイアウォール機能に加えて、さまざまなセキュリティ機能を統合的に提供することで、高度な脅威対策を実現します。
その中でも「UTPバンドル(Unified Threat Protection)」は、コスト効率と機能のバランスに優れたセキュリティライセンスパッケージとして、多くの中小企業〜中堅企業で採用されています。
本記事では、UTPバンドルの構成、他のバンドルとの違い、導入メリット、注意点を詳しく解説します。
UTP(Unified Threat Protection)バンドルは、FortiGateに高度なセキュリティ機能を追加するための統合型ライセンスパッケージです。
単なるファイアウォール機能にとどまらず、マルウェア対策、攻撃遮断、Webアクセス管理など、多層的な防御機能を1つにまとめて提供するのが特長です。
このバンドルは、日々進化するサイバー脅威に対応するための基本セットと考えるとよいでしょう。
機能 | 概要 |
---|---|
アンチウイルス(AV) | ファイルダウンロードや通信時にウイルスやマルウェアをリアルタイムで検出・遮断。 |
IPS(侵入防御システム) | 外部からの脆弱性攻撃、不正アクセス、DoS攻撃などをブロック。 |
アプリケーション制御 | 業務に不要なアプリ(P2P、ゲーム、SNSなど)を識別・制限。帯域の最適化にも貢献。 |
Webフィルタリング | URLカテゴリやセキュリティレピュテーションに基づいたWebアクセス制御。悪質サイトのブロックも可能。 |
アンチスパム | メール経由での迷惑メールやフィッシングを検出・排除。 |
基本的なFortiSandbox Cloud連携 | 疑わしいファイルをクラウド上で解析するサンドボックス分析と連携(詳細な機能はEnterprise Bundle以上で提供)。 |
FortiCareサポート(8×5) | 平日営業時間内(8時間×5日)のサポートとファームウェアアップデートを提供。 |
FortiGateでは、ニーズに応じて複数のライセンスバンドルが提供されています。
UTPはその中間的な位置づけです。
バンドル名 | 機能範囲 | 特長 |
---|---|---|
FortiCareのみ | サポートとアップデートのみ | 最も低コストだが、UTM機能は含まれない。 |
UTPバンドル | 基本的な脅威対策 | 多層防御を実現する中核パッケージ。コスト効率に優れる。 |
Enterprise Bundle | 高度な脅威インテリジェンス | UTPに加え、フル機能のFortiSandbox、Botnet、CASB(クラウドアクセス制御)などを含む。 |
360 Protectionバンドル | 自動化・運用最適化も含む最上位版 | Enterprise機能に加え、Fabric Management Center(運用基盤)やAI対応の自動防御まで統合。 |
個別機能をバラで購入するより圧倒的に安価。
中小企業でも導入しやすい価格設計。
マルウェア、Web、メール、アプリケーションといった多角的な入口からの脅威を一括でカバー。
FortinetのFortiOS管理画面で一元管理できるため、セキュリティ運用負荷が低い。
項目 | 内容 |
---|---|
FortiSandboxの機能制限 | UTPではFortiSandbox Cloudとの連携は可能だが、詳細分析や自動対応はEnterprise Bundle以上で提供。 |
24時間サポート非対応 | デフォルトのFortiCareサポートは8x5。24x7サポートは別途契約が必要。 |
処理能力の確保が必要 | 多機能を有効化することでトラフィック処理負荷が増すため、適切なハードウェア選定が必要。 |
UTPバンドルは通常、1年/3年/5年単位のサブスクリプション形式で提供されます。
初回導入時に本体と同時購入するのが一般的で、ライセンスが失効するとUTM機能は無効になるため、期限管理には注意が必要です。
UTPバンドルは、FortiGateを単なるファイアウォールから「統合脅威管理アプライアンス」へと進化させる、非常にバランスの取れたライセンスパッケージです。
マルウェア対策、侵入防御、Web制御、アプリ制御などを1つにまとめ、コスト・機能・運用のバランスに優れる選択肢です。
より高度な脅威対策やAIによる自動化を求める場合は、Enterprise Bundleや360 Protectionも検討しましょう。
以上、FortiGateのUTPバンドルについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。