MENU
「安心のセキュリティをお得な価格」でご提供!
Fortinet商品など
ENGAGE fotinet

FortiGateのステートフルインスペクションについて

FortiGateの「ステートフルインスペクション(Stateful Inspection)」は、ネットワークセキュリティにおいて非常に重要な機能であり、ファイアウォールがパケット単位ではなく、通信セッション全体を把握・管理することを可能にする技術です。

これにより、FortiGateは単純なパケットフィルタリング以上の高度なセキュリティ機能を提供しています。

ステートフルインスペクションとは?

基本定義

ステートフルインスペクションは、パケットのヘッダー情報だけではなく、その通信セッション(状態)全体を監視・管理する技術です。

これにより、許可されたセッションのみを継続させ、不正なアクセスやセッションハイジャックなどをブロックできます。

通信セッションとは

セッションとは、ある通信の「開始 → 継続 → 終了」という一連の流れのことです。

TCPでいえば、3ウェイ・ハンドシェイクから始まり、FINパケットによる終了までが一つのセッションです。

FortiGateにおけるステートフルインスペクションの仕組み

FortiGateは、通信の状態(State)を記録・追跡する「セッションテーブル(状態テーブル)」を用いてステートフルインスペクションを行います。

セッションテーブル(Session Table)

FortiGateは受信したパケットに対して以下の情報を記録します。

  • 送信元/宛先IPアドレス
  • 送信元/宛先ポート番号
  • プロトコル(TCP/UDPなど)
  • セッションのステータス(Established、Closingなど)
  • NATやポリシーの適用状況

この情報に基づいて、戻ってくる応答パケットが正当なものかどうかを判断します。

トラフィックの流れの追跡

初回のパケットはポリシーと照合されてチェックされますが、一度セッションが確立すると、後続のパケットはセッションテーブルを元に許可・拒否されるため、パフォーマンスが向上します。

FortiGateのステートフル検査によるセキュリティ強化

不正な接続の遮断

例えば、インターネット側からLAN側へのTCP応答パケットが届いても、それに対応するセッションがなければ破棄されます。

これにより、ポートスキャンやSYN Floodなどの攻撃を防ぐことができます。

アプリケーション制御との連携

FortiGateはアプリケーション制御(Application Control)やIPS(侵入防止システム)と連携して動作します。

これらのセキュリティ機能もステートフルであり、セッションの中で現れるパターンをリアルタイムで検査します。

NATとの併用

FortiGateではNAT(アドレス変換)とステートフルインスペクションが密接に連携します。

セッションごとのNAT情報もセッションテーブルに記録されており、戻りのパケットが正しくマッピングされます。

ステートフルとステートレスの違い

比較項目 ステートレスインスペクション ステートフルインスペクション
通信セッションの認識 なし(パケット単体で判断) あり(セッション単位で追跡)
処理速度 比較的速い 初回は遅いが、セッション確立後は高速
セキュリティ精度 低い(リクエストとレスポンスの関連性を追えない) 高い(双方向通信を把握)
利用用途 単純なフィルタリング、初期段階の通信分析 ファイアウォール、IDS/IPS、アプリ制御など

FortiGateの設定におけるステートフル制御の例

基本ポリシーの設定

FortiGateでは、ポリシーでセッションの確立方向を明確に定義します。

例えば「LAN → WAN」は許可し、「WAN → LAN」はセッションが存在しない限り拒否されます。

config firewall policy
  edit 1
    set srcintf "internal"
    set dstintf "wan1"
    set srcaddr "all"
    set dstaddr "all"
    set action accept
    set schedule "always"
    set service "ALL"
    set logtraffic all
  next
end

このポリシーでは、LAN内部からインターネットへのセッションが開始されると、戻りパケットも許可されます。

メリットと注意点

メリット

  • 通信の正当性をセッションレベルで確認できるため、高精度な制御が可能
  • NATやIPSなど他のセキュリティ機能との親和性が高い
  • パフォーマンス向上(セッションキャッシュによる高速処理)

注意点

  • セッションテーブルの肥大化:セッション数が多いとリソースを圧迫
  • 不要なセッションのクローズ設定やタイムアウト設定が必要
  • 一部のアプリケーションは特殊なセッション管理を行うため例外設定が必要

補足:次世代型ファイアウォールとしての進化

FortiGateは単なるステートフルインスペクションにとどまらず、「ディープパケットインスペクション(DPI)」や「SSLインスペクション」、「Webフィルタリング」、「アプリケーション識別」などの高度な機能も組み合わせています。

これにより、アプリケーション層(L7)まで検査し、たとえばYouTubeとGoogle Driveの通信を同じ443番ポートでも区別して制御可能です。

まとめ

FortiGateのステートフルインスペクションは、以下のような高度なセキュリティを実現する基盤技術です。

  • 通信セッションの正当性を維持し、不正アクセスを遮断
  • セッション単位の高速なパケット処理でパフォーマンス向上
  • 他のセキュリティ機能との連携による包括的な防御

これにより、FortiGateは家庭用から企業ネットワークまで幅広く対応できる堅牢なセキュリティアプライアンスとして機能しています。

以上、FortiGateのステートフルインスペクションについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリ一覧

ページトップへ