FortiGateの透過モード(トランスペアレントモード、Transparent Mode)は、FortiGateがレイヤ2(データリンク層)で動作するモードで、ファイアウォール機能をL2スイッチのようにネットワークに挿入し、IPアドレスの変更なしにセキュリティ制御を行える構成です。
以下では、透過モードの概要、用途、特徴、構成のポイント、ルーティングとの違い、設計上の注意点などを詳しく解説します。
透過モード(Transparent Mode)とは、FortiGateをブリッジ(bridge)モードで動作させる設定方法です
FortiGate自身はL2スイッチのように振る舞い、IPアドレスの割り当てやルーティングを必要とせずに通信を通過させながら、ファイアウォール検査を行います。
項目 | 内容 |
---|---|
動作レイヤー | レイヤ2(データリンク層) |
IPアドレス | FortiGate自身に1つだけ管理用IPを設定 |
通過するトラフィック | IPアドレスの変更なしにそのまま通過 |
主な用途 | 既存ネットワークへのシームレスなセキュリティ導入 |
ファイアウォール機能 | 可能(ポリシー制御、IPS、ウイルス検査など) |
注意点 | 詳細説明 |
---|---|
インターフェースのブリッジ化 | 「トランスペアレントモード」では、2つ以上の物理ポートを「同一のブリッジ」に設定します。 |
管理用IPは1つだけ | FortiGateの管理アクセス用IPは1つだけ。DNSやDHCPなどL3機能は限定されます。 |
一部機能が制限される | ルーティングやVPNエンドポイントとしての機能など、一部制限があります。 |
ARPやMACの学習が重要 | スイッチとして動作するため、MACアドレステーブルやARPテーブルの管理が重要です。 |
比較項目 | トランスペアレントモード | ルーティングモード(NATモード) |
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動作レイヤ | レイヤ2 | レイヤ3 |
IP設定 | 管理用に1つのみ | 各インターフェースごとにIP設定可能 |
トラフィックのNAT | 原則しない(透過) | NAT(SNAT/DNAT)可能 |
VPN機能 | 一部制限あり | フル機能 |
構成の難易度 | 既存環境に導入しやすい | ゲートウェイとしてネットワーク設計が必要 |
[スイッチ]---[FortiGate]---[ルータ]
[Webサーバ]---[FortiGate]---[ファイアウォール]---[インターネット]
FortiGateを透過モードに変更するにはCLI操作が必要です(初期セットアップ後の変更は再起動を伴います)。
config system settings
set opmode transparent
end
# 管理IP設定
config system interface
edit "lan"
set ip 192.168.1.254 255.255.255.0
set allowaccess ping https ssh
end
以上、FortiGateの透過モード(トランスペアレントモード)についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。