FortiGateのメモリ使用率が高い場合、それはパフォーマンス低下や予期せぬ再起動、セッションドロップ、管理画面へのアクセス不能などの深刻な問題に発展する可能性があります。
この問題に対処するためには、原因の特定と適切な対応が不可欠です。
以下に、段階的な対処法とベストプラクティスを詳細に解説します。
get system performance top
このコマンドは、CPU・メモリ・セッション数などをリアルタイムで表示します。
Mem
欄が 80%以上を超えていたら注意が必要です。
または、以下のコマンドでより詳細なメモリ使用状況を確認できます。
diagnose hardware sysinfo memory
原因 | 詳細 |
---|---|
セッション数の増加 | 同時接続数が過剰になり、リソースを圧迫。 |
IPS/AV/SSL Inspectionの過剰利用 | Deep Packet Inspectionが大量に実行されているとメモリ消費が激しい。 |
不適切なログ設定 | FortiAnalyzerやSyslogへの過剰なログ送信。 |
不正なトラフィック | スキャン攻撃やDoS攻撃などにより負荷が急増。 |
メモリリーク | 古いファームウェアやバグが原因でメモリが解放されない。 |
アプリケーションコントロール・Webフィルタリング | 高精度なスキャン設定をしていると負荷が高くなる。 |
config system session-ttl
set default 300
end
config log setting
set status disable
end
プロセス別のメモリ使用量を確認
diagnose sys top
特定のプロセス(例:ipsengine
, wad
, scanunitd
)が異常な量のメモリを消費している場合、その機能を一時停止または設定を見直します。
config system global
set udp-idle-timer 60
set tcp-idle-timer 600
end
対策 | 内容 |
---|---|
FortiAnalyzer導入 | ログストレージを外部化して本体の負荷を軽減。 |
UTM機能のバランス運用 | 必要なポリシーにだけIPS/AVを適用する。 |
負荷分散構成 | 冗長構成(HA)で処理を分担。 |
管理用アクセス制限 | GUIのアクセス元IPを限定する。 |
定期的な監視・レポート作成 | FortiView や SNMP監視でトレンドを把握。 |
diagnose test application wad 99
diagnose test application ipsmonitor 99
これにより、特定のプロセスが再起動しメモリが一時的に回復する場合があります。
FortiGateはメモリ使用量が90%以上に達すると、conserve mode(節約モード)
に入ります。
この状態では一部の機能が停止し、FortiGateの挙動が不安定になります。
再起動によって一時的に回復しても、根本原因(設定・運用)を改善しない限り再発します。
そのため、「一時しのぎではなく本質的なチューニングと設定見直し」が求められます。
ステップ | 内容 |
---|---|
Step 1 | CLIでメモリ使用状況を確認 |
Step 2 | 高負荷の原因を特定(セッション数・IPS・ログなど) |
Step 3 | TTL設定・ログ最適化・検査機能の見直しなどを実施 |
Step 4 | FortiAnalyzer導入や構成見直しなど恒久対策 |
Step 5 | 緊急時にはCLIからプロセス再起動も検討 |
以上、FortiGateのメモリ使用率が高い時の対処法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。