FortiGateの「オーバーライド(Override)」機能は、主にWebフィルタリングやアプリケーション制御、SSL検査などのセキュリティポリシーにおいて、一時的に制限を解除したい場合に使われる非常に重要な機能です。
ここでは、特にWebフィルタリングのオーバーライドを中心に解説しながら、他の用途でもどのように使われるのかを含めて、以下の構成で詳しく説明します。
オーバーライドとは、FortiGateが通常ブロックする通信やコンテンツに対して、一時的または条件付きでアクセスを許可する例外処理のことです。
ユーザーや管理者がこの制限を手動または自動で解除できる仕組みです。
シーン・機能名 | オーバーライドの用途 |
---|---|
Webフィルタリング | 通常はブロックされるカテゴリ(例:SNS、ギャンブル)を、特定ユーザーだけ一時的に許可 |
アプリケーション制御 | 特定アプリ(例:Skype、BitTorrent)への通信を、部署や時間帯によって許可 |
SSLインスペクション | 本来は検査対象のHTTPSサイトを、オーバーライドしてスキャン対象から除外 |
DNSフィルタリング | 特定ドメインをオーバーライドして許可 |
Webプロキシ+認証環境 | LDAP/SSO認証後に、個別ユーザーに対してブロック解除(後述) |
FortiGateでWebフィルターを有効にしていると、たとえば「SNS」カテゴリがブロック設定されている場合、そのカテゴリのサイト(例:Facebook)は全ユーザーに対して遮断されます。
ブロックされたページにアクセスすると、以下のようなページが表示されることがあります。
Access Denied
This website is categorized as "Social Networking" and has been blocked.
[Override] ボタン
この時、「Override」ボタンが表示されていれば、ユーザーはそれをクリックして制限解除の申請ができます。
オーバーライドのために、以下のような認証が必要になります。
これにより、「管理部門のユーザーだけがオーバーライドできる」などの制御が可能です。
以下はFortiGate GUIでの手順の一例です。
作成したWebフィルタプロファイルを、対応するポリシー(IPv4/IPv6 Policy)に割り当てます。
config webfilter profile
edit "webfilter_profile"
config override
set status enable
set user-group "OverrideUsers"
set expiry 60 # 単位:分
end
next
end
A. はい、10分、1時間など、任意の時間で設定可能です。
A. はい。ポリシー上のプロファイルで「オーバーライド無効化」にする、または、ユーザー認証方式を使わなければブロックのみが実施されます。
A. ログ設定が無効でない限り、オーバーライドは基本的にログに記録されます。ログ保存期間や容量設定も重要です。
diagnose debug enable
diagnose debug application webfilter 255
このようなデバッグログを取ることで、オーバーライド処理の挙動を詳細に確認できます。
FortiGateのオーバーライド機能は、組織内のセキュリティポリシーを堅牢に保ちながらも、「一部例外を柔軟に許可する」ための強力なツールです。
業務の円滑化とセキュリティの両立を実現するために、適切な設定と運用ルールを組み合わせて活用しましょう。
以上、FortiGateのオーバーライドについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。