FortiGateは、Fortinet社が提供する次世代ファイアウォール(Next-Generation Firewall: NGFW)であり、セキュリティ機能に特化したネットワーク機器ですが、ルーターとしての機能も非常に高性能です。
企業ネットワークにおいては、ファイアウォールとルーターの役割を一台で担うことができるため、FortiGateは多くの現場で利用されています。
以下では、FortiGateの「ルーター機能」について、役割・機能・特徴・導入時の考慮点などをプロフェッショナル視点で網羅的に解説します。
FortiGateは本来「セキュリティアプライアンス」として開発されていますが、同時に以下のような高度なルーティング機能を持っています。
機能カテゴリ | 内容 |
---|---|
スタティックルート | IPごとに手動でルート設定が可能。ポリシーベースやディスティネーションベースで設定可。 |
ポリシールーティング | トラフィックの種類(送信元、宛先、ポートなど)に応じてルートを変更可能。負荷分散や特定アプリの経路制御に有効。 |
ダイナミックルート | OSPF、BGP、RIPなどの主要なルーティングプロトコルに対応。 |
マルチWAN対応 | 複数のインターネット回線を束ねて使用でき、フェイルオーバーやロードバランシングも対応。 |
ECMP(Equal Cost Multi Path) | 同一コストの経路が複数ある場合にトラフィックを分散できる機能。 |
ルーティングテーブルの管理 | GUIおよびCLIから柔軟に操作でき、リアルタイムで経路情報をモニタリング可能。 |
1台でルーティングとセキュリティ機能を担えるため、ネットワークのシンプル化・機器の削減が可能。
ルーティングポリシーにセキュリティポリシーを適用可能。
たとえば、「ある送信元IPからのSSHトラフィックは特定の経路を通す」など。
マルチWAN対応、フェイルオーバー機能により、ISP障害時にも自動的に通信経路を切り替え可能。
GUI(FortiOS)でルート設定・監視が可能。
CLI(コマンドライン)にも強く、上級者にも最適。
CLIでの設定例を以下に示します。
config router static
edit 1
set dst 10.0.0.0/24
set gateway 192.168.1.1
set device "wan1"
next
end
この設定では、10.0.0.0/24宛ての通信を、192.168.1.1(wan1)経由で転送するルートが追加されます。
GUIでも視覚的に経路の状態や優先度、インターフェースごとのトラフィックを確認できるため、初心者にも使いやすいです。
観点 | 内容 |
---|---|
性能要件 | 機種によりルーティング性能に差がある(例:エントリーモデル vs ハイエンドモデル) |
ルート競合 | スタティックとダイナミックルートの優先順位に注意(優先度=距離) |
管理の複雑さ | OSPFやBGPを利用する場合、ルーティング設計とセキュリティ設計を同時に行う必要がある |
ログとモニタリング | FortiAnalyzerとの連携でルート経路の変動もログ管理できるとより効果的 |
FortiGateは単なるセキュリティデバイスではなく、本格的なルーター機能を備えた統合ネットワークアプライアンスです。
中小企業から大規模データセンターまで対応できる柔軟性と、セキュリティとの密接な統合は、FortiGateならではの強みです。
ルーティング設計とセキュリティ設計を一元化することで、運用負荷を軽減しつつ、より堅牢なネットワーク構築が可能になります。
以上、FortiGateのルーター機能についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。