インターネットを使うとき、普段はあまり意識しませんが、Webサイトの表示、メールの送受信、スマートフォンアプリの通信などには「DNSサーバー」が深く関係しています。
その中でも、家庭や会社のインターネット回線でよく使われるのが、プロバイダのDNSサーバーです。
プロバイダのDNSサーバーとは、インターネット接続サービスを提供している事業者、つまりISPが利用者向けに提供しているDNSサーバーのことです。
特別な設定をしていない場合、自宅のルーターやパソコン、スマートフォンでは、契約しているプロバイダから自動取得したDNSサーバーが使われていることが多くあります。
簡単にいうと、プロバイダのDNSサーバーは、Webサイトの名前を、通信に必要なIPアドレスへ変換してくれる案内役です。
ただし、必ずプロバイダのDNSサーバーが使われるとは限りません。
端末やルーターでDNSサーバーを手動設定している場合、ブラウザのDNS over HTTPSを有効にしている場合、VPNやセキュリティソフトを利用している場合などは、プロバイダ以外のDNSサーバーが使われることもあります。
DNSサーバーを理解するには、まずDNSの役割を知っておく必要があります。
インターネット上のサーバーや機器は、基本的にIPアドレスを使って通信しています。
たとえば、Webサイトを見るとき、私たちはブラウザにドメイン名やURLを入力します。
たとえば、次のようなものです。
example.com
しかし、コンピューター同士が通信するときには、実際にはIPアドレスが使われます。
IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなものです。
人間にとっては数字のIPアドレスよりも、ドメイン名のほうが覚えやすく扱いやすいです。
一方、コンピューターにとっては、通信先を指定するためにIPアドレスが必要です。
そこで使われるのがDNSです。
DNSは、主にドメイン名とIPアドレスを対応付ける仕組みです。
たとえば、ブラウザにWebサイトのURLを入力すると、パソコンやスマートフォンはDNSサーバーに対して、次のような問い合わせを行います。
「このドメイン名に対応するIPアドレスは何ですか?」
DNSサーバーは、その問い合わせに対してIPアドレスを返します。端末は返ってきたIPアドレスを使って、目的のWebサーバーに接続します。
この流れがあることで、ユーザーは複雑なIPアドレスを覚えなくても、ドメイン名だけでWebサイトにアクセスできます。
なお、DNSはIPアドレスだけを扱う仕組みではありません。
メール配送先を示すMXレコード、ドメインの別名を示すCNAMEレコード、ドメイン認証などに使われるTXTレコードなど、さまざまな情報も扱います。
ただし、一般的なWebサイト閲覧では、ドメイン名に対応するIPアドレスを調べる用途が中心です。
プロバイダのDNSサーバーとは、インターネット接続事業者が契約者向けに提供しているDNSサーバーです。
家庭用の光回線、モバイル回線、会社のインターネット回線などでは、接続時にDNSサーバーの情報が自動的に割り当てられることがあります。
そのため、ユーザーが手動でDNSサーバーのアドレスを入力しなくても、インターネットを利用できるようになっています。
このとき使われるDNSサーバーが、契約しているプロバイダのDNSサーバーであることが多いです。
つまり、DNS設定を特に変更していない場合は、プロバイダが用意したDNSサーバーを使って、Webサイトやアプリの通信先を調べている可能性が高いといえます。
ただし、利用環境によっては、ルーター側でパブリックDNSが設定されていたり、ブラウザやVPNが別のDNSを使っていたりすることもあります。
そのため、現在どのDNSサーバーを使っているかを正確に知りたい場合は、端末、ルーター、ブラウザ、VPN設定などを確認する必要があります。
プロバイダのDNSサーバーには、いくつかの重要な役割があります。
最も基本的な役割は、ドメイン名をIPアドレスに変換することです。
たとえば、ユーザーがWebサイトにアクセスするとき、端末はDNSサーバーに対して、アクセス先のドメイン名に対応するIPアドレスを問い合わせます。
プロバイダのDNSサーバーは、その問い合わせに対して必要な情報を調べ、端末へ返します。
この処理があることで、ユーザーはIPアドレスを意識せずにWebサイトを閲覧できます。
プロバイダのDNSサーバーは、多くの場合、キャッシュDNSサーバーまたは再帰リゾルバとして機能します。
これは、ユーザーの端末やルーターからの問い合わせを受け取り、必要に応じて他のDNSサーバーに問い合わせながら、最終的な答えを返す役割です。
たとえば、プロバイダのDNSサーバーがすぐに答えを持っていない場合、ルートDNSサーバー、TLD DNSサーバー、権威DNSサーバーなどをたどって情報を取得します。
ただし、実際には毎回必ず最初からすべてのDNSサーバーに問い合わせるわけではありません。
DNSサーバーは途中で得た情報も一時的に保存するため、キャッシュに情報があれば、その情報を使って素早く応答できます。
DNSサーバーは、取得したDNS情報を一定時間保存します。
これをキャッシュといいます。
たとえば、あるユーザーが特定のWebサイトにアクセスし、そのドメイン名のIPアドレスを問い合わせたとします。
その後、別のユーザーが同じドメイン名を問い合わせた場合、DNSサーバーは前回取得した情報を再利用できることがあります。
これにより、毎回すべてのDNSサーバーをたどる必要がなくなり、名前解決の速度が向上します。
ただし、DNS情報は永久に保存されるわけではありません。
DNSレコードにはTTLと呼ばれる有効期限が設定されており、その時間を過ぎると再度情報を取得する必要があります。
DNSは、Webサイトの閲覧だけでなく、メール、スマートフォンアプリ、クラウドサービス、オンラインゲームなど、さまざまな通信で使われています。
そのため、DNSサーバーが正常に動作していないと、インターネット回線自体はつながっていても、Webサイトが表示されないことがあります。
たとえば、次のような症状が出ることがあります。
このような場合、回線そのものではなく、DNSサーバーやDNS設定に問題がある可能性があります。
DNSサーバーにはいくつかの種類があります。
プロバイダのDNSサーバーを理解するうえでは、特に次の2つを区別しておくとわかりやすくなります。
キャッシュDNSサーバーは、利用者の端末やルーターからDNS問い合わせを受け取り、代わりに名前解決を行うDNSサーバーです。
プロバイダのDNSサーバーは、多くの場合、このキャッシュDNSサーバーとして使われます。
利用者から見ると、「このドメインのIPアドレスを調べてください」と依頼する相手がキャッシュDNSサーバーです。
権威DNSサーバーは、特定のドメインの正式なDNS情報を管理しているDNSサーバーです。
たとえば、Webサイト運営者がドメインを管理するとき、そのドメインのAレコード、AAAAレコード、MXレコードなどを管理するDNSサーバーが権威DNSサーバーです。
つまり、キャッシュDNSサーバーは利用者側に近いDNSサーバーで、権威DNSサーバーはドメイン管理者側に近いDNSサーバーと考えるとわかりやすいです。
Webサイトにアクセスするとき、プロバイダのDNSサーバーは次のような流れで使われます。
まず、ユーザーがブラウザにURLを入力します。
次に、パソコンやスマートフォンがDNSサーバーに問い合わせます。
この問い合わせ先として、端末やルーターに設定されているDNSサーバーが使われます。
特にDNS設定を変更していなければ、プロバイダのDNSサーバーが使われていることが多いです。
プロバイダのDNSサーバーは、問い合わせを受けると、まず自分のキャッシュに必要な情報があるか確認します。
キャッシュに情報があれば、そのIPアドレスを端末へ返します。
キャッシュに情報がない場合は、ルートDNSサーバー、TLD DNSサーバー、権威DNSサーバーなどをたどって、対象ドメインの情報を取得します。
最終的に、取得したIPアドレスをユーザーの端末へ返します。
端末は返ってきたIPアドレスを使って、目的のWebサーバーに接続します。
ただし、実際のDNS問い合わせでは、途中の情報もキャッシュされるため、毎回必ずルートDNSサーバーから順番に問い合わせるわけではありません。
端末のDNS設定を確認すると、DNSサーバーとして次のようなアドレスが表示されることがあります。
192.168.1.1
192.168.0.1
10.0.0.1
これらは、家庭内や社内ネットワークで使われるプライベートIPアドレスです。
多くの場合、ルーターのIPアドレスです。
この場合、端末は直接プロバイダのDNSサーバーへ問い合わせているのではなく、まずルーターに問い合わせています。
ルーターはDNSフォワーダーやDNSプロキシとして動作し、プロバイダから自動取得したDNSサーバー、またはルーターに手動設定された外部DNSサーバーへ問い合わせを転送します。
そのため、端末のDNSサーバー欄にルーターのIPアドレスが表示されていても、その先でプロバイダのDNSサーバーが使われている場合があります。
ただし、環境によっては、ルーターが外部DNSサーバーのアドレスを端末へ直接配布している場合もあります。
そのため、正確に確認したい場合は、端末側の設定だけでなく、ルーター側のDNS設定も確認するとよいでしょう。
プロバイダのDNSサーバーには、いくつかのメリットがあります。
プロバイダのDNSサーバーは、インターネット接続時に自動的に設定されることが多いため、ユーザーが手動で設定する必要がほとんどありません。
ルーターや端末のDNS設定を変更していなければ、基本的には自動取得されたDNSサーバーがそのまま使われます。
そのため、初心者でも特別な知識なしでインターネットを利用できます。
プロバイダのDNSサーバーは、そのプロバイダのネットワーク環境に合わせて運用されています。
そのため、利用環境によっては安定した応答が期待できます。
ただし、プロバイダのDNSサーバーが必ず最速というわけではありません。
地域、回線、時間帯、ネットワーク経路、DNSサーバーの負荷などによって、応答速度は変わります。
場合によっては、パブリックDNSのほうが速いこともあります。
プロバイダのDNSサーバーを標準設定のまま使っている場合、通信トラブルが発生したときに、プロバイダのサポートを受けやすいというメリットがあります。
たとえば、Webサイトが表示されない、DNSサーバーが応答しないといった問題が起きた場合、標準設定であればプロバイダ側も案内しやすくなります。
一方、外部のパブリックDNSを手動で設定している場合、サポート窓口ではまずDNS設定を自動取得に戻すよう案内されることがあります。
プロバイダによっては、DNSを利用したセキュリティサービスを提供している場合があります。
たとえば、フィッシングサイト、マルウェア配布サイト、有害サイトなどへのアクセスをDNSレベルでブロックするサービスです。
このような機能が有効になっている場合、プロバイダのDNSサーバーを使うことで、危険なサイトへのアクセスを防ぎやすくなることがあります。
ただし、フィルタリングの有無や対象範囲は、プロバイダや契約内容、オプション設定によって異なります。
一方で、プロバイダのDNSサーバーには注意点もあります。
プロバイダのDNSサーバーに障害が発生すると、ドメイン名からIPアドレスを調べられなくなり、Webサイトやアプリに接続できないことがあります。
この場合、インターネット回線自体はつながっていても、ブラウザでは次のようなエラーが表示されることがあります。
ただし、DNSが使えないからといって、インターネット接続そのものが必ず切れているわけではありません。
IPアドレスを直接指定した通信や、端末にキャッシュが残っている通信は、一時的に利用できる場合もあります。
プロバイダのDNSサーバーは、環境によって応答が遅くなる場合があります。
たとえば、利用者が多い時間帯、DNSサーバーの負荷、ネットワーク経路、地域差などによって、名前解決に時間がかかることがあります。
DNS応答が遅いと、Webサイトを開く最初のタイミングで待ち時間が発生することがあります。
ただし、DNSは一度取得した情報をキャッシュするため、すべての通信が常に遅くなるわけではありません。
また、DNSの速度はWeb表示速度の一部に関係するものです。
画像や動画の転送速度、大容量ファイルのダウンロード速度などは、DNSだけで決まるわけではありません。
プロバイダによっては、セキュリティ対策やオプションサービスとして、DNSレベルのフィルタリングを行っている場合があります。
これは、危険なサイトへのアクセスを防ぐという意味ではメリットです。
しかし、利用者によっては、アクセスしたいサイトがブロックされる、意図しない制限を受けると感じる場合もあります。
フィルタリングの内容はプロバイダや契約内容によって異なるため、気になる場合は契約しているプロバイダの案内を確認するとよいでしょう。
DNS問い合わせには、アクセスしようとしているドメイン名やホスト名が含まれます。
そのため、DNSサーバーの提供者は、利用者がどのドメインへアクセスしようとしたかを把握できる可能性があります。
たとえば、DNS問い合わせでわかる可能性があるのは、主に次のようなドメイン名やホスト名です。
example.com
shop.example.com
一方で、次のようなURLのパス部分や、ページの本文、入力内容などは、通常DNS問い合わせには含まれません。
/article/page.html
/products/item.html
プライバシーを重視する場合は、DNS over HTTPSやDNS over TLSに対応したDNSサービスを利用する方法もあります。
ただし、DNSを暗号化しても、通信全体が完全に匿名化されるわけではありません。
通信先のIPアドレスなど、別の情報から接続先の一部が推測される場合もあります。
プロバイダのDNSサーバーと比較されるものに、パブリックDNSがあります。
パブリックDNSとは、プロバイダ以外の企業や団体が一般向けに提供しているDNSサーバーです。
代表的なものには、Google Public DNS、Cloudflare DNS、Quad9などがあります。
プロバイダのDNSサーバーは、契約しているインターネット接続事業者が提供するDNSサーバーです。
一方、パブリックDNSは、インターネット上で広く利用できるDNSサービスです。
違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | プロバイダのDNSサーバー | パブリックDNS |
|---|---|---|
| 提供元 | 契約しているプロバイダ | Google、Cloudflare、Quad9など |
| 設定 | 自動設定されることが多い | 手動設定が必要なことが多い |
| 速度 | 環境によって安定する場合がある | 環境によって速い場合がある |
| サポート | プロバイダのサポートを受けやすい | プロバイダのサポート対象外になる場合がある |
| セキュリティ機能 | プロバイダや契約内容による | サービスによって異なる |
| プライバシー方針 | プロバイダによる | 提供元のポリシーによる |
どちらが必ず優れているというわけではありません。
速度、安定性、セキュリティ、プライバシー、サポートの受けやすさなどを考えて、利用環境に合ったDNSサーバーを選ぶことが大切です。
DNSサーバーを変更すると、Webサイトの表示が速くなる場合があります。
ただし、必ず速くなるわけではありません。
DNSサーバーが関係するのは、主にWebサイトへ接続し始める前の名前解決の時間です。
たとえば、ブラウザにURLを入力してから、実際にWebサーバーへ接続し始めるまでの部分に影響します。
そのため、DNSサーバーの応答が速くなると、Webサイトを開く最初の反応が改善する場合があります。
一方で、画像の読み込み速度、動画の再生速度、ファイルのダウンロード速度などは、DNSだけで決まるわけではありません。
これらは、回線速度、Webサーバーの性能、CDN、端末性能、混雑状況などにも左右されます。
また、CDNを利用しているサービスでは、DNSの応答結果によって接続先の配信サーバーが変わる場合があります。
その結果、表示速度や通信品質に影響することもあります。
つまり、DNS変更によって改善することはありますが、すべての通信速度が劇的に速くなるわけではありません。
現在どのDNSサーバーを使っているかは、端末やルーターの設定から確認できます。
Windowsでは、ネットワーク設定からDNSサーバーを確認できます。
使用中のWi-Fiや有線LANの詳細情報を開くと、DNSサーバーの情報を確認できます。
DNSサーバーの欄に 192.168.1.1 のようなアドレスが表示される場合は、端末がルーターをDNSサーバーとして参照している可能性があります。
その場合、実際の問い合わせ先はルーター側の設定によって決まります。
macOSでは、システム設定のネットワーク項目からDNSサーバーを確認できます。
使用中のWi-Fiや有線接続の詳細設定を開き、DNSの欄を見ると、現在設定されているDNSサーバーを確認できます。
スマートフォンでは、Wi-Fi設定からDNS情報を確認できる場合があります。
ただし、モバイル回線を利用している場合は、通信事業者側からDNSサーバーが自動的に割り当てられるため、ユーザー側で詳細を確認しにくい場合があります。
家庭や会社のネットワークでは、端末ではなくルーター側にDNSサーバーが設定されていることがあります。
この場合、ルーターの管理画面にログインし、インターネット接続設定やDNS設定の項目を確認します。
ルーター側でプロバイダから自動取得したDNSサーバーを使っている場合、端末側ではルーターのIPアドレスだけが表示されることがあります。
また、ブラウザのDNS over HTTPS、VPN、セキュリティソフトなどが有効になっている場合、OSやルーターで確認したDNS設定とは別のDNSサーバーが使われることもあります。
DNSサーバーは、設定する場所によって影響範囲が変わります。
| 設定場所 | 影響範囲 |
|---|---|
| 端末で変更 | そのパソコンやスマートフォンだけに適用される |
| ルーターで変更 | ルーター配下の複数端末に適用される場合がある |
| ブラウザで変更 | そのブラウザのDNS設定だけに適用される場合がある |
| VPNで指定 | VPN接続中の通信に適用される場合がある |
たとえば、パソコンだけでDNSサーバーを変更した場合、スマートフォンやタブレットには影響しません。
一方、ルーター側でDNSサーバーを変更した場合、そのルーターに接続している複数の端末に影響することがあります。
また、最近のブラウザにはDNS over HTTPSの設定が用意されている場合があります。
この場合、OSやルーターのDNS設定とは別に、ブラウザだけが独自のDNSサーバーを使うこともあります。
VPNを利用している場合は、VPN接続中だけVPN側で指定されたDNSサーバーが使われることもあります。
プロバイダのDNSサーバーは、別のDNSサーバーに変更できます。
たとえば、パブリックDNSを使うことで、環境によってはDNS応答が速くなったり、プロバイダDNSの一時的な障害を回避できたりする場合があります。
ただし、DNSを変更する場合はいくつか注意点があります。
通常のWeb閲覧では、外部DNSに変更しても大きな問題が起きないことが多いです。
しかし、プロバイダ独自のサービスを利用している場合は注意が必要です。
たとえば、次のようなサービスに影響する可能性があります。
DNSを変更したあとに不具合が出た場合は、いったんDNS設定を自動取得に戻して確認するとよいでしょう。
外部DNSを使っている場合、プロバイダのサポート窓口では、まず標準設定に戻すよう案内されることがあります。
これは、トラブルの原因を切り分けるためです。
プロバイダ側としては、自社が推奨している標準設定で問題が発生しているかどうかを確認する必要があります。
そのため、DNSを変更する場合は、元の設定に戻せるようにしておくことが大切です。
パブリックDNSに変更すると速くなるという話を聞くことがありますが、必ずしもそうとは限りません。
DNSの速度は、利用地域、回線、時間帯、DNSサーバーまでの経路、キャッシュ状況などによって変わります。
ある環境では速くなっても、別の環境では変わらない、あるいは遅くなることもあります。
DNSを変更する場合は、実際に使ってみて、安定性や体感速度を確認することが重要です。
会社や学校、VPN接続中の環境では、指定されたDNSサーバーを使う必要がある場合があります。
このような環境でDNSサーバーを勝手に変更すると、社内システム、学内システム、ファイルサーバー、業務アプリ、VPN接続先などにアクセスできなくなる可能性があります。
管理されたネットワークでは、DNS設定を変更する前に、ネットワーク管理者や案内資料を確認することが大切です。
プロバイダのDNSサーバーに関連するトラブルには、次のようなものがあります。
DNSサーバーが応答しない場合、ドメイン名からIPアドレスを取得できず、Webサイトが表示されないことがあります。
この場合、特定のサイトだけでなく、複数のサイトが開けなくなることがあります。
DNS情報のキャッシュが古い場合や、特定のドメインのDNS設定に問題がある場合、一部のWebサイトだけ表示できないことがあります。
特に、Webサイトのサーバー移転やDNS設定変更の直後には、古い情報が残っている影響で、一時的にアクセスできないことがあります。
メールの送受信にもDNSが使われます。
たとえば、メールサーバー名の名前解決や、送信先ドメインのMXレコード確認などにDNSが関係します。
そのため、DNSに問題があると、メールソフトがサーバーに接続できないことがあります。
ただし、メールトラブルの原因はDNS以外にもあります。
認証設定、サーバー障害、ポート設定、SSL/TLS設定、メール容量など、さまざまな要因が考えられます。
スマートフォンアプリやPCアプリも、通信先のサーバー名をDNSで解決しています。
そのため、DNSの応答が遅かったり、名前解決に失敗したりすると、アプリの起動、ログイン、同期、通知などが不安定になる場合があります。
DNSサーバーに問題があるか確認するときは、いくつかの観点で切り分けることが大切です。
まず、Wi-Fiや有線LANに正常に接続できているか確認します。
次に、複数のWebサイトが開けないのか、特定のWebサイトだけ開けないのかを確認します。
さらに、同じネットワークに接続している別の端末でも同じ問題が起きるか確認します。
同じ回線に接続している複数の端末でWebサイトが開けない場合、ルーター、DNSサーバー、プロバイダ側の設備などに問題がある可能性があります。
一方、1台の端末だけで問題が起きている場合は、その端末のDNS設定、ブラウザ、セキュリティソフト、ネットワーク設定などが原因になっている可能性があります。
また、VPN接続中だけ問題が起きる場合は、VPN側のDNS設定やVPNサーバー側の通信状態が関係していることもあります。
DNSサーバーに問題があると思われる場合は、次のような対処法があります。
まず試しやすいのが、ルーターの再起動です。
ルーターがDNS情報を正しく取得できていない場合や、一時的に動作が不安定になっている場合、再起動で改善することがあります。
パソコンやスマートフォン側に一時的な不具合がある場合、端末の再起動で改善することがあります。
OS側のDNSキャッシュやネットワーク設定の一時的な問題が解消されることがあります。
DNSキャッシュが古い情報を持っていると、正しいサーバーに接続できない場合があります。
DNSキャッシュは、ブラウザ、OS、ルーター、DNSサーバーなど複数の場所に保存されることがあります。
端末側のキャッシュ削除で改善することもありますが、プロバイダのDNSサーバー側に古い情報が残っている場合は、反映まで時間がかかることがあります。
プロバイダのDNSサーバーに障害がある場合、一時的にパブリックDNSへ変更することで改善する場合があります。
ただし、DNSを変更して問題が解消したとしても、原因が本当にプロバイダのDNSサーバーだったのか、別の要因だったのかは慎重に判断する必要があります。
また、会社、学校、VPN、セキュリティフィルタリングを利用している環境では、DNS変更によって必要なサービスに接続できなくなる場合があります。
トラブルが解消したあとも、必要に応じて標準設定に戻せるようにしておくと安心です。
最近のインターネット接続では、IPv4だけでなくIPv6も利用されることが増えています。
DNSもIPv6に対応しています。
IPv4アドレスを返すDNSレコードはAレコード、IPv6アドレスを返すDNSレコードはAAAAレコードと呼ばれます。
IPv6接続を利用している環境では、プロバイダのDNSサーバーがIPv6向けの名前解決にも関係します。
また、プロバイダによっては、IPv6 IPoE接続や独自のIPv6サービスとDNS設定が関係している場合があります。
そのため、IPv6環境でDNSサーバーを変更する場合は、プロバイダやルーターの案内を確認したうえで設定することが大切です。
家庭ではプロバイダのDNSサーバーを使うことが多いですが、会社や学校では独自のDNSサーバーを使っていることがあります。
企業や学校のDNSサーバーでは、外部のWebサイトだけでなく、社内システムや学内システムの名前解決を行っている場合があります。
たとえば、次のようなものです。
このような環境でDNSサーバーを勝手に変更すると、社内システムや学内システムにアクセスできなくなる可能性があります。
会社や学校のネットワークでは、DNS設定を変更する前に、ネットワーク管理者の方針を確認することが重要です。
プロバイダのDNSサーバーとは、インターネット接続事業者が利用者向けに提供しているDNSサーバーのことです。
主な役割は、ユーザーが入力したドメイン名を、通信に必要なIPアドレスへ変換することです。
特にDNS設定を変更していない場合、自宅のルーターや端末では、契約しているプロバイダのDNSサーバーが自動的に使われていることが多くあります。
ただし、端末やルーターの手動設定、ブラウザのDNS over HTTPS、VPN、セキュリティソフトなどの影響により、プロバイダ以外のDNSサーバーが使われることもあります。
プロバイダのDNSサーバーは、多くの場合、利用者からの問い合わせを受けて名前解決を行うキャッシュDNSサーバーとして機能します。
キャッシュに情報があれば素早く応答し、情報がなければ他のDNSサーバーをたどって必要な情報を取得します。
プロバイダのDNSサーバーには、初期設定のまま使える、サポートを受けやすい、プロバイダのサービスと連携しやすいといったメリットがあります。
一方で、障害が起きるとWebサイトが開けなくなったり、環境によっては応答が遅かったり、フィルタリングの影響を受けたりすることもあります。
DNSサーバーは普段あまり意識されませんが、Webサイトの閲覧、メール、アプリ通信などを支える重要な仕組みです。
インターネットにつながっているのにWebサイトが開かない、複数のサイトで名前解決エラーが出る、アプリの通信が不安定になるといった場合は、プロバイダのDNSサーバーやDNS設定に問題がないか確認してみるとよいでしょう。
以上、プロバイダのDNSサーバーについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。