DNSサーバーの種類を理解するには、まず「それぞれ何の役割を担っているのか」で整理することが大切です。
DNSは、example.com のような人が覚えやすいドメイン名を、通信に使うIPアドレスへ変換する仕組みです。
ただし、この名前解決は1台のDNSサーバーだけで完結しているわけではありません。実際には、複数のDNSサーバーが役割分担しながら連携して動いています。
DNSサーバーは、役割で分けると主に次の4つに整理できます。
このほかに、運用方法による分類として
提供形態による呼び方として
などがあります。
つまり、DNSサーバーの「種類」は、役割による分類と運用や提供形態による分類がある、ということです。
再帰的リゾルバは、利用者のPCやスマートフォンからの問い合わせを受けて、代わりに名前解決を進めるDNSサーバーです。
一般には「キャッシュDNSサーバー」や「再帰DNSサーバー」と呼ばれることもあります。
たとえば、ブラウザで example.com にアクセスすると、端末は設定されているDNSサーバーに対して、
と問い合わせます。
このとき、最初に問い合わせを受けるのが通常は再帰的リゾルバです。
再帰的リゾルバは、すでに答えを持っていなければ、ほかのDNSサーバーへ順番に問い合わせを行い、最終的な答えを見つけて利用者に返します。
再帰的リゾルバは、一度調べた結果を一定時間保存します。
この保存された情報がキャッシュです。
たとえば、あるユーザーが example.com を調べた直後に別のユーザーが同じ名前を問い合わせた場合、毎回最初から調べ直すのではなく、保存済みの結果を返せることがあります。
これにより、次のようなメリットがあります。
なお、実務では「再帰的リゾルバ」と「キャッシュDNSサーバー」はほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には再帰的に問い合わせを進める役割と、結果を保存する機能という違いがあります。
再帰的リゾルバとして使われる代表例には、次のようなものがあります。
ルートネームサーバーは、DNSの階層構造の出発点となるサーバーです。
DNSの名前空間は階層構造になっており、その最上位にあるのがルートゾーンです。
再帰的リゾルバが example.com の情報をまだ持っていない場合、まずルートネームサーバーに問い合わせます。
ただし、ルートネームサーバー自身が example.com のIPアドレスを直接返すわけではありません。
返すのは、
.com については、このTLDネームサーバーに問い合わせてください」という情報です。
つまり、ルートネームサーバーは最終回答を持つサーバーではなく、次の問い合わせ先を案内する役割を担っています。
ルートネームサーバーは、DNSのすべての詳細情報を持っているわけではありません。
持っているのは、主に各トップレベルドメインへ問い合わせるための情報です。
そのため、初心者向けに言えば、ルートネームサーバーはDNS名前解決の最初の案内役と考えると理解しやすいです。
TLDは Top Level Domain の略で、.com、.jp、.org、.net などのことです。
TLDネームサーバーは、それぞれのトップレベルドメインを管理するネームサーバーです。
たとえば example.com を調べる場合、ルートネームサーバーの案内を受けたあと、次に .com のTLDネームサーバーへ問い合わせます。
するとTLDネームサーバーは、
という形で、対象ドメインの権威DNSサーバーを案内します。
つまりTLDネームサーバーは、対象ドメインの権威DNSサーバーの場所を教える役割を持っています。
DNSの流れをシンプルに表すと、
という構造になっています。
権威DNSサーバーは、特定のドメインに関する正式なDNS情報を持っているサーバーです。
英語では Authoritative DNS Server と呼ばれます。
たとえば example.com の場合、次のようなDNSレコードを管理しているのが権威DNSサーバーです。
つまり権威DNSサーバーは、
などの元になる正式データを持っています。
この違いは非常に重要です。
つまり、権威DNSサーバーはそのドメインの正しい情報の出どころです。
権威DNSサーバーは通常、ゾーン単位でDNS情報を管理します。
たとえば example.com というゾーンに対して、
example.comwww.example.commail.example.comなどのレコードを持ちます。
これはDNSサーバーの役割分類というより、主に権威DNSサーバーの運用形態を表す言葉です。
プライマリDNSサーバーは、元となるゾーンデータを管理するサーバーです。
DNSレコードの追加や変更を行う中心となる存在です。
セカンダリDNSサーバーは、プライマリDNSサーバーからゾーン情報を受け取り、同じ内容を保持するサーバーです。
これにより、次のようなメリットがあります。
つまり、プライマリとセカンダリは、権威DNSサーバーを安定運用するための仕組みと考えるとわかりやすいです。
公開DNSサーバーは、技術的な役割名というより、一般公開されていて誰でも利用できるDNSサービスを指す言葉です。
これらは「公開DNSサーバー」と呼ばれますが、多くの場合、実際の役割は再帰的リゾルバです。
つまり「公開DNSサーバー」は、DNSの基本的な役割分類とは少し異なり、誰でも使える形で提供されている再帰的リゾルバを指すことが多い、という理解が適切です。
実際の名前解決は、次のような流れで進みます。
このように、DNSは1台のサーバーだけで動いているわけではなく、複数のサーバーが段階的に連携する仕組みです。
リゾルバとは、DNSの名前解決を行う仕組み全般を指す言葉です。
文脈によっては、利用者側の簡易的な問い合わせ処理を行うものを指すこともあれば、再帰的リゾルバを指すこともあります。
ネームサーバーは広い意味ではDNSサーバー全般を指します。
ただし実務では、ドメイン管理画面などで権威DNSサーバーを指して「ネームサーバー」と呼ぶことも多くあります。
そのため、文脈によって意味が少し変わる用語だと理解しておくと混乱しにくくなります。
DNSサーバーの種類を理解するうえで、実務では次の点が特に重要です。
この違いを理解しておくと、DNSトラブルの切り分けがしやすくなります。
権威DNSサーバー側のレコードを変更しても、再帰的リゾルバに古い情報がキャッシュとして残っていると、すぐには切り替わらないことがあります。
一般にはこれをDNS伝播と呼ぶことが多いですが、厳密には、世界中に何かが一斉に広がるというより、各DNSキャッシュの有効期限が切れるタイミングの違いによって反映に差が出る現象です。
ドメインを取得した会社と、権威DNSサーバーを提供している会社が別であることは珍しくありません。
たとえば、
がそれぞれ異なるケースもあります。
そのため、DNS設定を変更するときは、どの会社の管理画面で設定すべきかを確認することが大切です。
DNSサーバーの種類は、まず役割ごとに整理することが重要です。
主な役割は次の4つです。
さらに、運用形態として
提供形態として
という呼び方があります。
つまりDNSは、「利用者の代わりに調べるサーバー」「途中の問い合わせ先を案内するサーバー「正式な答えを持つサーバー」が役割分担しながら動いている仕組みです。
以上、DNSサーバーの種類についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。