DNSとデフォルトゲートウェイは同じものではありません。
どちらもネットワーク設定でよく見かける項目ですが、役割はまったく違います。
簡単に言うと、
です。
たとえば、あなたがブラウザで example.com にアクセスしたいとします。
このとき必要になるのが、主に次の2つです。
example.com という人がわかりやすい名前から、実際の通信に必要なIPアドレスを調べます。
調べたIPアドレスの相手が自分のネットワークの外にいる場合、その通信をまず渡す相手です。
通常はルーターがその役割を持ちます。
ネットワーク通信を「荷物を送ること」にたとえると、次のようになります。
相手の名前しかわからないと、荷物は送れません。
そこで案内所に行って、
example.comさんの住所はどこですか?
と聞くイメージです。
この「住所を調べる役目」がDNSです。
相手が近所ではなく遠方にいるなら、自分で直接持っていくのではなく、まず配送拠点に荷物を渡します。
この「最初に渡す相手」がデフォルトゲートウェイです。
| 項目 | DNS | デフォルトゲートウェイ |
|---|---|---|
| 主な役割 | 名前に対応するIPアドレスなどを調べる | 自ネットワーク外への通信を中継する |
| 何をするか | 名前解決 | パケット転送 |
| 典型例 | example.com → 93.184.216.34 |
外向け通信を 192.168.1.1 に渡す |
| 多くの場合の相手 | DNSサーバー | ルーター |
たとえば、PCの設定が次のようになっているとします。
192.168.1.10255.255.255.0192.168.1.18.8.8.8このPCで www.example.com にアクセスすると、概ね次のような流れになります。
PCは最初に、
www.example.comのIPアドレスは何か
を知る必要があります。
そこでDNSサーバーに問い合わせます。
すると、たとえばwww.example.com = 93.184.216.34のような情報が返ってきます。
PCは、自分のIPアドレスとサブネットマスクをもとに、相手が同じネットワーク内にいるかどうかを判断します。
今回の自分のアドレスは 192.168.1.10/24 です。
一方、相手は 93.184.216.34 なので、同じネットワーク内ではありません。
相手が自分のネットワーク外にいる場合、PCはその通信をデフォルトゲートウェイ に渡します。
この例では 192.168.1.1 がデフォルトゲートウェイなので、まずルーターにパケットを送り、そこから先のネットワークへ転送してもらいます。
ここは少し重要です。
さきほどの例では、DNSサーバーは 8.8.8.8 でした。
これは自分のネットワーク 192.168.1.0/24 の外にあります。
そのため、DNSサーバーに問い合わせる通信そのものも、デフォルトゲートウェイ経由で送られます。
つまり、
であり、DNSの通信にもデフォルトゲートウェイが関わることがあるわけです。
DNSとデフォルトゲートウェイは別物ですが、混同されやすい理由があります。
Windowsやスマホ、ルーターの設定画面では、DNSとデフォルトゲートウェイが同じように並んで表示されることがあります。
そのため、同じ種類の設定に見えやすいです。
たとえば、
8.8.8.8192.168.1.1のように、どちらも数字で表示されます。
見た目が似ているので、役割も似ているように感じやすいです。
家庭用ルーターは、しばしば次のような複数の役割をまとめて持っています。
このため、PCの設定では
192.168.1.1192.168.1.1のように、同じIPアドレスが設定されることがあります。
ただしこれは、同じ機器が2つの機能を持っているだけであって、DNSとデフォルトゲートウェイが同じ概念という意味ではありません。
ここはかなり大事です。
たとえば 192.168.1.1 という同じアドレスが
ことはあります。
しかしそれは、
をその機器が両方持っているというだけです。
同じ建物の中に「受付」と「配送窓口」が両方あるようなもので、場所は同じでも仕事は別です。
DNSに問題があると、典型的には次のような症状が出ます。
たとえば、
example.com では開けないということがあります。
ただし現在のWebサイトは、HTTPS証明書、SNI、仮想ホスト設定などの事情があるため、IPアドレスを直接入力しても正常に使えないことは多いです。
それでも本質的には、DNS障害は「宛先の名前を解決できない問題」です。
デフォルトゲートウェイに問題があると、自分のネットワークの外へ通信できなくなることが多いです。
典型的には、
という症状になります。
これは、外へ出るための中継先が使えないからです。
必ずしもそうではありません。
相手のIPアドレスがわかっていて、かつそのサービスがIP直指定に対応していれば、通信できることがあります。
ただし実際には、普段の利用ではほぼドメイン名を使うため、DNS障害が起きると「ネットが使えない」と感じやすいです。
そうではありません。
デフォルトゲートウェイは、あくまで最初に渡す中継先です。
通常はルーターであり、その先にさらに別のネットワークやプロバイダの設備が続いています。
そうとも限りません。
家庭用ルーターがDNSの問い合わせ先になることもありますし、社内ネットワークでは社内DNSサーバーが使われることもあります。
初心者向けには「DNS」と「デフォルトゲートウェイ」で十分ですが、少しだけ正確に言うなら次のようになります。
DNSは、ドメイン名に対応するIPアドレスなどの情報を管理・問い合わせる仕組みです。
AレコードやAAAAレコードだけでなく、MX、CNAME、TXTなどさまざまな情報を扱います。
正確には、ルーティングテーブルで明示的な経路がない宛先に対して使う既定の次ホップ先です。
実務的には「デフォルトルートの送り先」と考えるとより正確です。
ただし日常会話や一般的なPC設定では「デフォルトゲートウェイ」という言い方で問題ありません。
DNSとデフォルトゲートウェイは同じではありません。
example.com のような名前に対応するIPアドレスなどを調べる仕組みです。
家庭用ルーターでは、同じ機器が両方の役割を持つことがあるため、設定画面では同じIPアドレスになることがあります。
しかし、役割としては別物です。
以上、DNSとデフォルトゲートウェイは同じなのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。