Fortinet社の次世代ファイアウォール「FortiGate」には、一部モデルで「リセットボタン(Resetボタン)」が搭載されています。
このボタンは、再起動や初期化を物理的に実行するための手段であり、特にGUIやCLIへアクセスできないトラブル時の復旧手段として活用されます。
ただし、このリセットボタンの挙動や有無はモデルやファームウェアバージョンにより異なるため、使用には十分な注意が必要です。
本記事では、FortiGateにおけるリセットボタンの機能・使い方・注意点について詳しく解説します。
操作内容 | 動作 |
---|---|
短押し(約5秒未満) | 一時的な再起動(リブート) |
長押し(10~15秒程度) | 工場出荷状態への初期化(ファクトリーリセット) |
注意: すべてのモデルがこの仕様に対応しているわけではありません。モデルごとの仕様やファームウェアにより、ボタンの有効・無効、押下時間による動作が異なることがあります。
長押しによってファクトリーリセットが実行されると、以下のような状態に戻ります。
項目 | 初期設定値 |
---|---|
管理IPアドレス | 192.168.1.99/24 |
アクセス方法 | HTTPS または SSH |
ユーザー名 | admin |
パスワード | 空欄(古いファームウェア)またはシリアル番号(FortiOS 7.0以降) |
重要:FortiOS 7.0以降では、初回ログインパスワードに「本体シリアル番号」が設定されている場合があります。事前にシリアルを控えておくことを推奨します。
モデル | リセットボタン | 備考 |
---|---|---|
FortiGate 30E / 40F | あり | 長押しで初期化可能 |
FortiGate 60F / 80F | あり | 同上 |
FortiGate 100F 以上 | なし(大多数) | CLIまたはGUIで操作 |
FortiGate VMシリーズ | なし | CLI操作のみ(物理ボタン不可) |
モデルによってはリセットボタンが存在しても無効化されている場合があります。使用前に必ずマニュアルを確認してください。
物理ボタンがない場合、CLIから以下のコマンドでファクトリーリセットを実行できます。
execute factoryreset
または、初期化後にシャットダウンも行いたい場合は
execute factoryreset-shutdown
※CLI操作は、コンソールポートまたはSSH経由で実行します。
リセット操作は重大な変更を伴うため、以下の事前準備を強く推奨します。
誤解 | 正しい内容 |
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「初期化するとライセンスも消える」 | ライセンスはFortinetのクラウドに紐づけられており、再ログインすれば復旧可能です。 |
「どのモデルでも同じようにボタンで初期化できる」 | モデルやファームウェアにより仕様が異なります。必ず確認してください。 |
「パスワードは空欄でログインできる」 | 最新ファームウェアではシリアル番号が初期パスワードです。 |
FortiGateのリセットボタンは、障害時や設定トラブルから復旧する際に便利な手段ではありますが、誤操作による設定喪失のリスクも大きいため、事前の情報収集と準備が不可欠です。
以下の点を押さえて、安全にリセット操作を行いましょう。
以上、FortiGateのリセットボタンについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。