MENU
「安心のセキュリティをお得な価格」でご提供!
Fortinet商品など
ENGAGE fotinet

VPN接続はなぜ遅いのか

VPNが遅く感じるのは、単に「暗号化しているから」という単純な話ではありません。

実際には、通信経路の変化・暗号処理・カプセル化・サーバー側の処理・回線品質・プロトコルの挙動 など、複数の要因が組み合わさって速度や体感に影響します。

以下では、一般的に発生しやすい原因を、より正確な視点で解説します。

通信経路が変わることで遅延が増える

VPNを使用すると、通信は一度VPNサーバーを経由します。

その結果、物理的・論理的な経路が変わります。

  • 通信距離が伸びる
  • 経路上のルータが増える
  • 混雑しているバックボーンを通る可能性がある

これにより遅延(RTT)やジッタが増加する場合があります。

ただし、必ずしも遅くなるとは限りません。

ISP側の国際回線が混雑している場合などは、VPN事業者の回線品質の方が良く、逆に改善するケースもあります。したがって「遠回り=常に遅い」というわけではありません。

暗号化・復号処理の負荷

VPNでは通信内容を暗号化・復号します。この処理は端末側とVPNサーバー側の双方で行われます。

影響が出やすいケース

  • 高速回線(1Gbps以上)を使用している
  • 端末のCPU性能が低い
  • VPNをルータ側で終端している(ルータが暗号処理を担当)

最近のCPUにはAES-NIなどの暗号アクセラレーション機能がありますが、機種や設定によっては処理能力がボトルネックになります。

なお、速度制限は端末だけでなく、VPNサーバーの処理能力や混雑状況 にも依存します。

カプセル化によるオーバーヘッドとMTU問題

VPNは通信パケットを別のプロトコルで包み込む(カプセル化)ため、ヘッダが追加されます。

この追加分は方式によって異なりますが、結果として

  • 実効スループットがわずかに低下する
  • MTU(最大転送単位)を超える場合がある

特に問題になりやすいのは、Path MTU Discovery(PMTUD)が正常に機能しない場合 です。

ICMPが遮断されるなどすると、パケットが黒穴化(black hole)し、一部サイトだけ遅い・開かないといった症状が出ることがあります。

これは「VPNだから必ず起こる」というものではありませんが、特定条件下で顕在化しやすい問題です。

遅延と損失によるTCPスループット低下

VPN経由で遅延が増えると、TCPの輻輳制御アルゴリズムに影響が出ます。

  • RTTが増加する
  • パケット損失がわずかに増える
  • 輻輳制御が働きウィンドウ拡張が遅くなる

その結果、理論上の回線速度が出なくなることがあります。

これは「再送が増えるから遅い」という単純な話ではなく、遅延 × 損失 × 輻輳制御の組み合わせ がスループットを制限する構造です。

VPNサーバーや上流回線の混雑

商用VPNや企業VPNでは、同時接続数が増える時間帯に性能が低下することがあります。

ボトルネックになり得る箇所

  • VPNサーバーのCPU
  • サーバーの帯域
  • 上流トランジット回線やピアリング品質

特に無料VPNではリソースが限られていることが多く、混雑の影響を受けやすい傾向があります。

企業VPNの場合の追加処理

企業環境では、VPNの出口で以下の処理が行われることがあります。

  • ファイアウォール検査
  • IDS/IPS
  • URLフィルタリング
  • SSL復号
  • プロキシ経由の強制
  • ゼロトラスト/SASE経由ルーティング

この場合、遅延の原因は「VPNそのもの」ではなく、VPN経由で通るセキュリティ経路 にあることも少なくありません。

プロトコルと設定の違い

VPN方式によって性能特性は異なります。

  • WireGuard:軽量設計で高速になりやすい傾向
  • IKEv2/IPsec:安定性に優れる
  • OpenVPN:設定次第で性能が変わる

OpenVPNをTCPモードで利用すると、内部通信もTCPの場合に「TCP over TCP」となり、損失環境で不利になることがあります。

ただし、制限されたネットワーク環境ではTCPモードが有効な場合もあります。

したがって、「この方式は常に速い/遅い」と断定することはできません。

DNSの影響

VPN接続時にDNSがVPN側に切り替わる場合があります。

DNS応答が遅いと

  • ページ表示開始まで時間がかかる
  • 速度テストは問題ないのに体感が悪い

企業VPNではDNSを変更すると社内ドメインが解決できなくなることがあるため、勝手な変更は推奨されません。

モバイル回線や公共Wi-Fiとの相性

モバイル回線や公共Wi-Fiでは、以下の影響を受けることがあります。

  • 多段NAT
  • UDP制限
  • AP混雑
  • 電波品質低下
  • QoS制御

これらがVPN通信と組み合わさることで、不安定さや速度低下が顕在化する場合があります。

まとめ

VPNが遅くなる主因は、次の3つに大別できます。

  1. 経路変更による遅延・損失・混雑の影響
  2. 暗号化・カプセル化による追加処理
  3. VPNサーバーやセキュリティ経路側の負荷

どの要因が支配的になるかは、

  • 使用プロトコル
  • サーバー地域
  • 回線品質
  • 端末性能
  • 時間帯
  • ネットワーク環境

によって変わります。

したがって、「VPNは遅い」という単純な結論ではなく、どこが律速になっているかを切り分けることが本質的な対処方法 になります。

以上、VPN接続はなぜ遅いのかについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリ一覧

ページトップへ