VPNとVPCは、どちらも「セキュアなネットワーク」に関係する言葉ですが、役割・レイヤー・目的がまったく異なる概念です。
混同されやすい理由は、「どちらも安全」「どちらも仮想」という共通イメージにありますが、実際には補完関係にあります。
VPNとは、インターネットなどの公衆回線上に、暗号化された通信経路(トンネル)を作る技術です。
本来、インターネット通信は第三者が経路上で盗聴・改ざんできる可能性がありますが、VPNを利用すると次のような状態になります。
重要なのは、VPNは「ネットワーク空間」そのものを作るものではなく、「安全な通信の仕組み」だという点です。
いずれの場合も、VPNの役割は「離れたネットワーク同士を安全につなぐこと」にあります。
VPCとは、クラウドサービス上に作成できる、論理的に分離された仮想ネットワーク空間です。
同じクラウド基盤を利用していても、VPCを分けることで以下が可能になります。
つまりVPCは、クラウド上に用意する「自分専用のネットワーク環境」です。
VPCは「通信手段」ではありません。
あくまで以下を担うものです。
感覚的には「社内ネットワークに近い」ですが、実体はクラウド上の論理ネットワークであり、物理的なLANとは異なります。
| 観点 | VPN | VPC |
|---|---|---|
| 役割 | 安全な通信経路を作る | ネットワーク空間を作る |
| 種類 | 通信技術 | ネットワーク設計 |
| 主な機能 | 暗号化・認証 | 分離・制御・設計 |
| 単体での性質 | 接続手段 | 接続される側 |
| レイヤー | 通信 | インフラ |
VPNは「通り道」、VPCは「場所」
この対比が最も正確です。
実際のシステム構成では、VPNとVPCは対立する概念ではなく、組み合わせて使われます。
典型的な構成は以下の考え方です。
このとき
という明確な役割分担になります。
→ 誤り
VPNは通信を守る技術であり、クラウド上のネットワーク設計や分離はできません。
→ 誤り
VPCはネットワーク環境、VPNは接続技術で、レイヤーが異なります。
→ 表現として不正確
VPC自体は高い分離性を持ちますが、オンプレミス等とプライベートに接続するにはVPNや専用線が必要、というのが正確です。
多くのWebサービスでは次のような構成が取られます。
この構成は、セキュリティ・運用・拡張性のバランスが非常に良いため、業務システムやマーケティング基盤でも一般的です。
以上、VPNとVPCの違いについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。