VPNとVLANは、どちらも「仮想(Virtual)」という言葉が付くため混同されやすい技術ですが、目的・使われる場所・解決する課題は根本的に異なります。
一言でまとめると、
です。
以下、仕組み・役割・違い・実務での使われ方まで順に整理します。
VPNとは、インターネットなどの公衆ネットワークを利用しながら、あたかも専用回線のように安全な通信経路を作る技術です。
物理的に専用線を引かなくても、
という状態を実現します。
VPNが主に解決するのは、次のような課題です。
つまりVPNは、「距離が離れていることによる不安定さ・危険さ」を解消する技術だと言えます。
VPNにはいくつか方式があり、動作するOSI参照モデルの層は一律ではありません。
代表例は以下の通りです。
そのため、「VPNはL3〜L7で動作する」と一括りに言い切るのは不正確で、方式によってL2 / L3 / L7などにまたがる、という理解が正解です。
VLANとは、同一の物理ネットワーク(スイッチ・配線)上で、論理的にネットワークを分割する技術です。
というのがVLANの本質です。
VLANは主に、社内ネットワーク設計上の課題を解決します。
つまりVLANは、「近くにあるもの同士を、役割ごとに分ける」ための技術です。
VLANでは、イーサネットフレームにVLAN ID(802.1Qタグ)を付与して通信を識別します。
この仕組みにより、物理的に同じLANでも、論理的には完全に別ネットワークとして扱えます。
異なるVLAN同士を通信させるには、レイヤ3での中継(Inter-VLANルーティング)が必要です。
ここで使われるのは、
のいずれかであり、「必ずルータが必要」というわけではありません。
実務ではL3スイッチによるVLAN間ルーティングも一般的です。
| 項目 | VPN | VLAN |
|---|---|---|
| 主な目的 | 安全な遠隔接続 | ネットワーク分離 |
| 距離の前提 | 離れた拠点・端末 | 同一拠点内 |
| 暗号化 | あり | なし |
| 主な利用場所 | インターネット経由 | LAN内部 |
| OSI層 | 方式によりL2/L3/L7 | L2 |
| 代表的用途 | 在宅勤務・拠点間接続 | 部署分割・ゲスト分離 |
VLANはセキュリティを高める要素にはなりますが、暗号化技術ではありません。
そのため実務では、VLAN+アクセス制御+ファイアウォールを組み合わせて使います。
これは誤りです。
役割が違うため、代替関係ではなく補完関係にあります。
現代の企業ネットワークでは、VPNとVLANはほぼ必ず併用されます。
典型例は次の流れです。
この構成により、
を同時に実現できます。
以上、VPNとVLANの違いについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。