VPN接続時に表示される エラー789 は、Windows環境で L2TP/IPsec方式のVPN を利用している場合に発生する代表的なエラーのひとつです。
一見すると「接続できない」という単純なトラブルに見えますが、実際には IPsec(暗号化・鍵交換)交渉段階で問題が起きていることを示しています。
本記事では、エラー789の意味・発生原因・環境別の対処ポイントを、誤解が生じないよう正確に解説します。
エラー789は、Windowsが次の状態にあることを示しています。
L2TP接続の試行に失敗しました。
セキュリティ層で初期交渉中にエラーが発生しました。
これは、L2TP/IPsec VPNの初期フェーズであるIPsec(IKE)交渉が完了しなかったことを意味します。
重要なのは、
で処理が停止している点です。
L2TP/IPsecは、以下の2段階で通信が確立されます。
エラー789は①IPsecフェーズで失敗した場合に表示されます。
そのため、ログイン情報が正しくても接続できない、という状況が起こります。
非常によくある原因のひとつです。
この2つが 完全に一致していない と、IPsec交渉が成立せずエラー789になります。
よくあるミス例
VPNサーバーとクライアント間で、次の設定が合致していない場合も交渉に失敗します。
特に 古いVPN機器と新しいWindows の組み合わせでは、互換性問題が原因になることがあります。
IPsecは構造上、NAT(アドレス変換)と相性が良くありません。
以下のような構成では、追加設定が必要になる場合があります。
この場合、NATトラバーサル(NAT-T) が正しく動作しないと、IPsec交渉が失敗しエラー789が発生します。
NAT環境でL2TP/IPsec VPNを使用する場合、Windowsでは以下のレジストリ設定が必要になることがあります。
HKEY_LOCAL_MACHINE
\SYSTEM
\CurrentControlSet
\Services
\PolicyAgent
DWORD値
AssumeUDPEncapsulationContextOnSendRule
設定値の意味
| 値 | 想定環境 |
|---|---|
| 0 | 既定(NAT非対応) |
| 1 | VPNサーバーがNAT配下 |
| 2 | サーバー・クライアント双方がNAT配下 |
環境に応じて 1または2 を設定し、再起動が必要です。
「必ず2にする」というわけではなく、ネットワーク構成に依存します。
L2TP/IPsecで一般的に使用される通信は以下の通りです。
| 用途 | プロトコル |
|---|---|
| IKE | UDP 500 |
| NATトラバーサル | UDP 4500 |
| L2TP | UDP 1701 |
| IPsec本体 | ESP(IPプロトコル50) |
特に UDP 4500 が遮断されていると、NAT環境では接続できません。
なお、UDP 1701 を外部から必ず開放する必要があるかどうかは、VPN機器や構成によって異なります。
以下のサービスが停止していると、IPsec処理が正常に行われません。
エラー789が出る場合は、これらが 起動状態 であることを確認します。
※ IKEv2で「必ず接続できる」わけではありませんが、L2TP/IPsec特有の789問題は回避できます。
以上、VPNのエラー789についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。