ファイアウォール(Firewall)は、本来「通信の許可/拒否」を行うセキュリティ機器ですが、多くの企業ネットワークでは L3モードで動作し、ルーティングテーブルを持ち、ルーターの役割も兼ねる構成が一般的になっています。
この「ファイアウォールが行う経路制御(ルーティング)」を総称して ファイアウォールのルーティング と呼びます。
ただし、ファイアウォールには L2(透明ブリッジ)モード も存在し、この場合はルーティングを行わず、スイッチに近い動作をするため、すべてのファイアウォールがルーティングを担当するわけではありません。
ファイアウォールの基本役割は「セキュリティ制御」ですが、L3モードで動作する場合には以下の機能も兼任します。
つまり現代のFWは「ルーター+セキュリティ機能」が一体化した存在といえます。
管理者が手動で経路を設定する最も基本的なルーティング方式です。
192.168.10.0/24 → 内部LAN
0.0.0.0/0 → ISP(デフォルトルート)
小〜中規模ネットワークでは最も利用頻度が高い方式です。
ファイアウォールが OSPF / BGP / RIP などのルーティングプロトコルを学習し、ネットワーク状況に応じて経路を自動調整する仕組みです。
企業の大規模ネットワークや拠点間構成でよく使われます。
特定の条件をもとに「通常のルーティングテーブルとは別の経路」を選ばせる仕組みです。
条件例(一般的なPBRの範囲)
条件例(NGFWではさらに拡張)
特定業務だけ高速回線に流すなどの細かい経路制御が可能になります。
技術用語として「NATルーティング」という表現は一般的ではありません。
しかし実際にはNATの設定がルーティング結果に大きく影響するため、企業ネットワークを設計するうえで両者は密接に紐付いています。
例
そのため、「ルーティングとNATはセットで考えるべき」 が正確な理解になります。
PBRと動的ルーティングの組み合わせが効果を発揮します。
L3 FW では以下のように複数のLAN/DMZをファイアウォール上で分岐できます。
これらが通信できるのは、FWがルーティングテーブルを持つからです。
VPNで通信するためには、対向拠点のサブネット宛のルートがFWに必要です。
これらによって VPN 経路が成立します。
外部から内部サーバへアクセスさせる場合は、NAT とルート整合性が必須です。
ここでミスがあるとアクセス不能になります。
内部処理の順序は ベンダーごとに異なる ため一概には言えませんが、概念的には次のような流れで処理されます。
重要なのは “ルーティング・ポリシー・NATは互いに影響し合う” という点です。
どれか一つの設定ミスが通信断に直結します。
ファイアウォールのルーティングは、単なる経路選択ではなく、ネットワークとセキュリティを統合した制御機能です。
これらを正しく理解することで、企業ネットワークの安定性・可用性・柔軟性を大きく高めることができます。
以上、ファイアウォールのルーティングについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。