FortiGate(FortiOS)では、CLIから実行する execute ping
コマンドに対して、詳細なパラメータ制御が可能な ping-options
機能が提供されています。
この機能は、通常のICMP疎通確認を超えて、MTUサイズ確認、ルーティング検証、QoS動作確認など多様なネットワーク検証に活用できます。
まず、ping-options
を使って各種パラメータを設定し、その後 execute ping
で疎通確認を実行します。
execute ping-options reset
execute ping-options repeat 5
execute ping-options size 128
execute ping-options timeout 2
execute ping-options source 192.168.1.1
execute ping www.google.com
ping-options reset
は、事前に設定されたオプションをすべて初期状態に戻すコマンドです。
ping-options
パラメータ一覧と解説オプション | 説明 |
---|---|
repeat <回数> |
ICMP Echo Request を指定回数送信(デフォルトは 5 回) |
size <バイト数> |
ICMP ペイロードのサイズを指定(標準は 56 バイト) |
timeout <秒数> |
応答までの待機時間(デフォルトは 2 秒) |
source <IPアドレス> |
送信元IPアドレスを指定(マルチインターフェース構成時に有効) |
interface <名前> |
使用する物理または仮想インターフェース名を指定(例:port1 ) |
`df-bit <yes | no>` |
ttl <数値> |
Time To Live を明示的に指定。パケット寿命や経路遮断確認に活用可能 |
pattern <16進値> |
ペイロードのパターンを指定(例:ff ) |
`validate-reply <yes | no>` |
`allow-routing <enable | disable>` |
tos <値> |
TOS(Type of Service)を手動設定 ※FortiOSバージョンにより使用不可の場合あり |
注意:一部のオプション(例:
tos
)は FortiOS のバージョンによって非サポートとなっている場合があります。?
ヘルプまたは公式リファレンスで確認を推奨します。
EthernetのMTU(通常1500バイト)に収まるかを検証するには、df-bit
をオンにし、ICMPデータ長を調整してpingを送信します。
execute ping-options reset
execute ping-options df-bit yes
execute ping-options size 1472
execute ping 8.8.8.8
目的 | 推奨オプション |
---|---|
ICMP応答に時間がかかるネットワークの検証 | timeout を 5~10 秒に設定 |
VPNトンネル経由での疎通確認 | interface または source を明示的に設定 |
フラグメント発生の確認(DFビット) | df-bit yes + size を段階的に増加 |
非対称ルートの検出 | validate-reply yes を設定して正規応答か検証 |
ping-options
を確認: execute ping-options view
execute ping-options reset
FortiGateのWeb GUIにも「診断」機能としてPingは用意されていますが、ping-options
による詳細な制御(DFビット、TTL設定、送信元インターフェースの明示など)は CLI限定 です。
特にトラブルシューティングやルーティング検証を行う場合は、CLIを活用するのが推奨されます。
ping-options
は、FortiGate環境におけるICMPベースの疎通確認にとどまらず、MTU検証、ルーティング確認、QoSの動作検証など多様なネットワーク診断に使える強力なツールです。
ため、ネットワーク管理者はこのCLI機能を積極的に活用すべきです。
以上、FortiGateのping-optionsについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。