Fortinetは、FortiOS 7.6.3以降のリリースで「SSL-VPNトンネルモード」機能を正式に廃止しました。
これにより、旧バージョンで構成されていたSSL-VPNトンネル接続設定はアップグレード後に自動的に削除され、GUI・CLI上からも設定項目が完全に消えます。
代替手段としては、IPsec VPNへの移行が推奨されています。
一方で、従来の「SSL-VPN Webモード」は「Agentless VPN」へと名称変更され、一部モデルでは利用可能なまま残ります。
ただし、ローエンド機種ではこのAgentless VPNすら利用できないケースが増えており、移行計画が急務となっています。
SSL-VPNの廃止は単なる機能整理ではなく、複数の要因が重なった結果です。
近年、SSL-VPN関連の重大脆弱性が相次ぎ報告されています。
特に2024年に公開された CVE-2024-21762 は、sslvpndにおけるリモートコード実行脆弱性で、認証前に攻撃可能な点が問題視されました。
これにより、FortinetはSSL-VPNの根本的なリスク低減を迫られました。
Fortinetはリモートアクセス関連機能をIPsec VPNやZTNA(Zero Trust Network Access)へ統合し、セキュリティ運用をシンプル化する方向へ舵を切っています。
SSL-VPNはその構造上、設定や認証方式が多様で運用負荷が高かったため、機能統一の流れの中で整理対象となりました。
特にメモリ2GB以下のローエンドモデルでは、SSL-VPN実行時のリソース不足が顕著で、7.4系時点から順次無効化が始まっていました。
| 項目 | 内容 | 対応・代替 |
|---|---|---|
| SSL-VPNトンネルモード | 7.6.3以降で全モデル廃止。旧設定はアップグレード時に削除される。 | IPsec VPN へ移行必須 |
| SSL-VPN Webモード(Agentless VPN) | 名称変更され一部モデルで継続。ただし機能は限定的。 | 機種により非対応(下表参照) |
| Agentless VPN非対応モデル | 40F / 50G / 60F / 61F(FGR-60F含む) / 70G / 90G / 91G | Agentlessも廃止対象 |
※Fortinet公式リリースノート(FortiOS 7.6.3 / 7.6.4)より確認済み。
一部GシリーズのEntry-Levelモデルでは、7.4.8時点でもSSL-VPNが非対応化されています。
Fortinetは「SSL VPN to IPsec VPN Migration Guide」を公式に公開しており、移行手順を明確に示しています。
「7.6系へ上げなければSSL-VPNを維持できる」と誤解されがちですが、機種によっては7.4.8時点でもSSL-VPNが既に利用不可です。
特に FortiGate Gシリーズ Entry-Level モデル(例:FortiGate 40G, 60G, 70G)は、7.4.8で非サポート化されています。
アップグレードを避けても維持できない場合があります。
Fortinetは今後、リモートアクセスの主軸を「ZTNA (Zero Trust Network Access)」や「SASE (Secure Access Service Edge)」へ移行していく方針です。
SSL-VPN廃止はその布石と位置づけられます。
IPsec VPNへの移行はあくまで中間段階であり、長期的にはZTNA構成への移行を計画しておくことが推奨されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | FortiOS 7.6.3以降(全モデル) |
| 廃止機能 | SSL-VPNトンネルモード |
| 残存機能 | Agentless VPN(旧Webモード)※一部モデルのみ |
| 非対応モデル | 40F / 50G / 60F / 61F / 70G / 90G / 91G など |
| 移行推奨先 | IPsec VPN(Fortinet公式移行ガイド推奨) |
| 背景 | セキュリティ脆弱性対応・製品統合・リソース制約 |
| 長期方針 | ZTNA / SASEベースのアクセス制御へ移行 |
以上、FortiGateのSSL-VPN廃止についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。