FortiGateのアドレスオブジェクト設定について詳しく解説します。
アドレスオブジェクトは、ファイアウォールポリシーやNATルールで利用される「通信先や送信元を識別するための定義」です。
効率的な管理や柔軟な運用のために欠かせない要素になります。
以下で体系的にまとめます。
アドレスオブジェクトの役割
- 通信制御の基本単位
ポリシーやNATで「送信元」「宛先」を指定する際に直接IPを書くのではなく、アドレスオブジェクトを参照することで管理が容易になります。
- 運用効率化
同じアドレスを複数ポリシーで利用する場合、オブジェクト化しておけば変更が一箇所で済みます。
- 可読性向上
ポリシー画面上に「192.168.10.1」ではなく「Web_Server」と表示されるため、直感的に理解できます。
アドレスオブジェクトの種類
FortiGateでは以下のタイプを定義可能です。
- IPアドレス / サブネット
- 単一IP(例: 192.168.1.10/32)
- ネットワーク(例: 192.168.1.0/24)
- FQDN (Fully Qualified Domain Name)
- 例:
www.example.com
→ DNS解決で得たIPを使い、変動IPに対応。
- レンジ (Range)
- 例: 192.168.1.10 - 192.168.1.20
- MACアドレス
- Geography (GeoIP)
- 国や地域単位での指定が可能(例: JP, US)。
- Dynamic(Fabric Connector連携)
- AWSやAzure、VMwareなどのクラウド連携で動的に取得されるIP群。
設定方法
GUIからの設定手順
- [ポリシー&オブジェクト] > [アドレス] > [新規作成] をクリック。
- 名前:わかりやすいオブジェクト名を入力(例:
Web_Server1
)。
- タイプ:IP/Range/Subnet/FQDN などを選択。
- 値の入力:実際のIPやFQDNを入力。
- インターフェースバインディング(任意):特定のインターフェースに関連付け可能。
- 保存すると、ポリシー設定で利用できるようになります。
CLIからの設定例
config firewall address
edit "Web_Server1"
set subnet 192.168.1.10 255.255.255.255
next
edit "Example_FQDN"
set type fqdn
set fqdn "www.example.com"
next
end
アドレスグループ
複数のアドレスオブジェクトをグループ化して利用可能。
- 例:
Web_Servers
グループに Web_Server1
と Web_Server2
を登録。
- ポリシー設定でまとめて指定できるため、運用負荷を削減。
ベストプラクティス
- 命名規則を統一
例: サーバーは SRV_xxx
、ネットワークは NET_xxx
、FQDNは FQDN_xxx
- 不要オブジェクトの整理
ポリシーから未使用のアドレスオブジェクトは削除して管理を簡潔に。
- FQDNの利用注意点
- DNSキャッシュ時間や解決失敗時の挙動を考慮。
- ダイナミックに変わるクラウドサービスはFQDNまたはFabric Connectorを活用。
- グループを活用
サーバ群・クライアント群ごとに整理し、ポリシーをシンプルに。
まとめ
FortiGateのアドレスオブジェクトは、IPやFQDN、範囲、地域などを柔軟に定義して、ポリシーやNATで利用するための基本要素です。
適切に命名規則を設けてグループ化すると、管理の一貫性と効率性が大幅に向上します。
以上、FortiGateのアドレスオブジェクトの設定についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。