FortiGateのファームウェア(FortiOS)アップグレードが失敗する要因は、大きく分けて「事前準備不足」「互換性の問題」「設定や環境の不整合」「手順上の問題」の4カテゴリに整理できます。
以下で詳しく解説します。
事前準備不足による失敗
- バックアップ未取得
コンフィグ(config
)やライセンス情報をバックアップしないまま作業すると、失敗時に復旧が困難になります。
- リリースノート未確認
Fortinetは各リリースで機能の追加・廃止・制限事項を公表しています。これを確認せず作業すると、非互換機能が原因で不具合が発生します。
- リソース不足
機種によってはストレージやメモリが不足しており、アップグレードが途中で失敗するケースがあります。
互換性の問題
- サポートされないアップグレードパス
FortiOSは任意のバージョン間で直接アップグレードできるわけではありません。公式の Upgrade Path Tool に従い、中間バージョンを経由する必要があります。
(例:「6.0 → 7.2」は直接アップグレードできないケースが多く、6.2や7.0を経由する必要がある場合があります。)
- ハードウェア非対応
古いFortiGateモデルは最新のFortiOSをサポートしていないことがあります。
- 機能の廃止や仕様変更
新しいバージョンで非推奨となった機能を使っていると、その設定が反映されず障害要因になります。
設定や環境の不整合
- 設定互換性の問題
インターフェース名、ルーティング、SSL証明書関連などが新バージョンでサポート外になり、アップグレード後に設定が落ちることがあります。
- ライセンス・サポート契約による制限
FortiOS 7.4.2以降は、サポート契約の有効期限に基づき、アップグレードやダウングレードが制限される仕組みが導入されています。これは「ライセンスが失われる」わけではなく、契約状況に応じてアップグレードがブロックされる仕様です。
- HA(高可用性)クラスタの不整合
HA構成ではクラスタ内のファームウェアが一致していないと同期エラーが発生します。誤った手順で作業するとスタンバイ機が正常に動作せず、障害に発展します。
アップグレード手順上の問題
- 電源断や中断
ファーム書き込み中に電源が落ちると、ブート不能となりTFTPなどでのリカバリが必要になります。
- 誤ったファームイメージの使用
機種ごとの専用イメージを誤って適用するとアップグレードに失敗します。
- 操作ミス
GUIでのアップロード中断や、CLIコマンドの誤りが失敗原因となる場合があります。
よくある失敗例
- 「The upgrade path is not supported」エラー
非対応バージョンを飛ばしてアップデートしようとしたケース。
- 起動後に設定が一部消える/初期化される
新バージョンで非互換の設定が削除されたケース。
- HAクラスタがダウン
バージョン不整合や同期不全による障害。
まとめ
FortiGateのアップグレード失敗は、主に以下に集約されます。
- 互換性の確認不足(アップグレードパス、非対応機能)
- 環境要因(容量不足、HA不整合、契約期限による制限)
- 手順上の問題(誤操作や電源断、誤ファーム)
失敗を防ぐための基本対策
- 必ず設定とライセンス情報をバックアップ
- 公式のアップグレードパスツールを参照
- リリースノートを事前確認
- HA構成では同期を事前確認
- メモリ/ストレージを十分に確保
以上、FortiGateのバージョンアップの失敗の理由についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。