FortiGateにおける「Zone(ゾーン)」の設定は、複雑なネットワーク環境を論理的に整理・簡素化し、セキュリティポリシーの管理を効率化するための強力な機能です。
特に、大規模なネットワークや複数のインターフェースを持つFortiGateを運用する際に、ゾーンを活用することで設定が一貫性を持ち、運用ミスも減らすことが可能になります。
以下では、FortiGateにおけるゾーンの基本から、実際の設定方法、使用上の注意点まで詳しく解説します。
FortiGateの「Zone」は、複数の物理・仮想インターフェースを1つの論理グループとしてまとめる機能です。
このグループに対してセキュリティポリシーを適用することで、個別のインターフェースごとにポリシーを書く必要がなくなります。
たとえば、「LAN1」「LAN2」「LAN3」という3つのインターフェースが社内ネットワークとして存在するとします。
この3つすべてを同じポリシーでインターネットへ接続させたい場合、各インターフェースに個別にポリシーを書くと冗長になります。
そこで「Internal」というZoneを作り、3つのLANインターフェースをその中に入れてしまえば、「Internal → WAN1」という1本のポリシーで済むのです。
メリット | 詳細 |
---|---|
セキュリティポリシーの簡素化 | 複数インターフェースにまたがる同一ポリシーを1本に集約できる |
一貫性ある運用 | インターフェースの追加や削除が容易。ポリシー側を大きく変更しなくてもよい |
可視性の向上 | GUIやログで「ゾーン名」でまとめて表示されるため、視認性が上がる |
トラブルシューティングが容易 | ゾーン単位でのトラフィック監視が可能になる |
Internal
)lan1
, lan2
など)Internal
)wan1
など
config system zone
edit "Internal"
set interface "lan1" "lan2" "lan3"
set intrazone enable
next
end
intrazone enable
:ゾーン内のインターフェース同士の通信を許可intrazone disable
:相互通信を禁止注意点 | 説明 |
---|---|
インターフェースは1つのゾーンにしか所属できない | インターフェースを複数ゾーンにまたがらせることは不可 |
ゾーンを削除するにはポリシーからの参照を解除する必要がある | 使用中のゾーンは削除できないため、ポリシーなどから外す必要がある |
VLANなどの仮想インターフェースもゾーンに入れられる | ただし、その親インターフェースとの整合性に注意 |
ゾーンを設定した後は、インターフェース単体でポリシーを使えない | ゾーンに含まれたインターフェースは、以降「ゾーン名」でポリシー管理する必要がある |
用途 | 具体例 |
---|---|
拠点LANの統合 | 複数フロアのLANインターフェースを Internal ゾーンとしてまとめる |
IoT機器用ネットワーク分離 | IoT ゾーンを作成し、他のゾーンと厳密に通信制御 |
DMZ環境の簡素化 | DMZ ゾーンにWebサーバやメールサーバのインターフェースをまとめ、ポリシーで一括制御 |
比較項目 | ゾーン | インターフェース個別指定 |
---|---|---|
ポリシー数 | 少なくて済む | 多くなりがち |
柔軟性 | ゾーン内の制御はやや限定される | 細かく制御可能 |
管理負荷 | 減る(構造化しやすい) | 増える(混乱しやすい) |
→ 基本はゾーンを使い、特定の要件で個別ポリシーを併用するのが現実的です。
FortiGateのZone機能は、ネットワークを論理的に整理し、セキュリティポリシーの管理を効率化するための非常に便利な仕組みです。
正しく活用すれば、運用ミスを減らし、セキュリティレベルも高めることが可能です。
以上、FortiGateのzone設定についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。